ケルトを聴きながらフィンランドに憧れて

北欧、フィンランド、ケルト音楽が好き。家事全般苦手なずぼら主婦が日々の暮らしや家事育児について。たまに昔話。

気になる腐れ縁の彼女

中学校の時に運動部に入っていたのだが
同じ部活で初めて彼女と知り合った

第一印象はとても面白い子だと思った
同じ部活の他の子に対して
かなりセンスのある突っ込みをしていて
聞いていると思わず笑ってしまう
そこから部活で仲良く話すようになった


(c) .foto project

彼女は体が弱く
部活中に貧血を起こしたり
体調が悪くなったりしていた
私が側に居ることが多かったので
彼女を介抱することもあり
私は彼女を守ってあげないといけない存在だと思っていた

しかし、誰しもその人を知ると嫌な面も見えてくる
彼女のセンスのある突っ込みが
かなりグサッとくる悪口になるときがある
本人は狙って言っているのか
悪気がないのかわからないが
かなりひどいことを私も言われた

どんなことを言われたかは忘れてしまったが
私が中学校時代に使っていたノートの
一番最後に赤ペンで
「あいつを絶対に見返してやる!」
などの殴り書きを見つけて
後にも先にもこんなことは無かったので
よっぽど腹が立ったんだと思う

彼女の事を親友に愚痴る事もあったが
その後も何となく仲良くしていた

彼女は計算なのか不思議ちゃんの時があり
美人なのに抜けていて面白いから
目立つタイプの同級生からも慕われていた
その反面
私を含む地味なタイプは
彼女の態度が、何となく上から目線のように感じる時があった

それでも何か彼女には魅力があり
時々話をしたくなるのだ
深く付き合うと彼女の棘に刺されて
ボロボロになるので
ほどほどにしないといけないのだが
いつも棘が刺さって
親友に愚痴る羽目になる

そんな感じで彼女とは大学は別々だったので
会うことはそんなになかったが
連絡はたまに取っていた

社会人になり
自分が働いている小さな会社で
人材を募集していて
私は彼女が就職せずに
家にいたのを知っていたので
彼女に打診してみると
とても乗り気で面接を受けることになった

頭もいい子だったので
会社の人も気に入り入社が決まった

実は私にも打算があった
彼女が入社する部署に
イケメンの先輩がいた
とても礼儀正しくて
物腰の優しい人だった
私はひそかに想いを寄せていた

彼女が入社したら
そのイケメンの先輩と繋がりが出来る事と
彼女は美人なので
その美人の彼女になびかない
外見重視の男じゃないというのを期待していた

しかし入社してすぐ
私は馬鹿だったと気付いた

彼女には私が先輩に好意を寄せているのを
伝えていたが
そんなことはお構い無しで
彼女も先輩が気に入ったと
正直に私に言ってきた
しかしその時彼女には彼氏がいた
かなり束縛の強い彼氏だった

それでも先輩が彼女になびかなければいいやと
思っていたが
私の考えは甘すぎた

彼女の歓迎会に友人ということで
私も参加したが
先輩も彼女を気に入った様子で
やっぱり人間、顔なのか…と悟った

彼女はいわゆる「ぶりっこ」なのだが
先輩なら軽くあしらってくれるかと期待していた

ところが思いっきり鼻の下が伸びた様子を見て
先輩も所詮その程度の男だったかと
勝手に理想を押し付けて
勝手に期待はずれの人にしてしまった

彼女は私にそれからも
先輩が失礼なことを言ってきたとか
急に後ろから蹴られたなど
先輩の評価を落とすような事を言ってきた

先輩の事をほとんど知らなかったので
そんなひどいやつなのかと私は驚いた
今となってはそれが本当の先輩だったのか
それとも彼女の策略だったのかわからない

私は自分で確かめることなく
先輩を諦めると白旗を上げた

まず彼女は美人で到底敵わないと思ったし
歓迎会で見た先輩の姿でガッカリしていたので
それで十分だった

それから彼女は先輩と付き合うために
何年も付き合った彼氏にあっさり別れを告げた
もちろん彼氏は急なことなので
すぐには彼女を諦められないようだった

彼女からしか聞いていないので
本当だったかわからないが
その後も先輩は彼女と付き合う事はなく
しかしドライブに行ったり
社内ではイチャついたりしていたようだ

彼女は先輩と付き合いたいようだったが
先輩は彼女をおもちゃにしているようだった
明らかに彼女は先輩から大事にされていなかった
やっぱりイケメンは何か裏があるのかなと
思いながら話を聞いていた

1年くらい微妙な関係を続けていたが
ついに彼女も音をあげた
いくら尽くしても恋人に昇格する事はなかった
彼女は元サヤに戻っていった

ドラマ「君が心に棲みついた」を2話までしか
見なかったが
もし私が先輩に足を踏み入れていたら
あの主人公キョドコみたいになっていたんじゃないかと思うと怖い
先輩は、向井理さんが演じた星名さんのイメージだ
何となく身に詰まされて
その後ドラマは見なかった

彼女は無事に何年も付き合っていた彼と結婚した
子供も二人産まれた
しかし二人とも発達障害があると言っていた

それからしばらくして年賀状も送られなくなった

先日、彼女と共通の友人の結婚式があり
その時に久しぶりに会えるだろうと思っていると
彼女の姿は無かった

それから気になって気になってしょうがなかった
もしかしたらこれは心配ではなく
単なる野次馬根性かもしれないと思いながらも
結婚式の後日、花嫁の子に彼女の事を聞いてみた

その子もずいぶん連絡を取っていなかった
少し前に精神的に辛いらしいと言うのを他の子から聞いて以来
連絡しづらくなったと言っていた

やっぱりそうだったのかと思った

それを聞いて気にはなるが
それ以上足を踏み入れるのは気が引けた
元気でいてほしいと思うが
自分が彼女を励ましてあげるほどの度量がない

彼女の棘に刺される度に
彼女とは腐れ縁だと嘆いていたが
今はただ
彼女の元気な姿を見て
昔ばなしに花を咲かせたいと素直に思う